遺産分割協議(民法907条)とは,相続人全員で,相続した遺産の分割方法について話しあって決めることです。
相続人どうしの話合いで遺産分割について合意できた場合には、どの遺産を誰が取得するかという合意の内容を明記した遺産分割協議書という書面を作成します。口頭で合意しただけでは後の争いを防ぐことができませんから書面にします。弁護士がかかわっている場合は弁護士が遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、銀行預金の払戻手続き、遺産である株式の売却、不動産の相続登記手続きなどに使います。将来の相続人間の争いを防ぐために文書として残します。遺言とは違う内容で遺産分割するときにも遺産分割協議書が必要です。
遺産分割協議書を作るほどの複雑な内容のものは弁護士などの専門家にゆだねるべきです。AIが作った文章を信じるのは自由ですがその責任はあなたが取ることになります。費用を払って専門家に依頼した方が良いことは多いのです。
可能です。遺言があっても、相続人全員が同意すれば遺言とは違った内容で遺産を分けることが可能です。
遺産分割協議書は、内容が明確で特定されていなければなりません。預金なら銀行名、支店名、口座番号、名義等、不動産なら全部事項証明書に記載されている不動産特定のために必要な情報全て、そして、相続人全員が署名して押印する必要があります。実印でなければ無効ということではありませんが、大事なことには実印を使うものですから認め印よりは実印を使用すべきです。不動産などの高額な財産が遺産にあるときは書き方も重要になるので弁護士に相談した方がいいでしょう。揉める前に法律相談をうまく利用すべきです。遺産分割協議書の作成費用は後々もめたときの弁護士費用よりずっと低額ですみます。紛争の事前予防をお勧めします。
相続人全員が遺言の存在を知らないで遺産分割協議をした場合は、意思表示の要素に錯誤があったとして遺産分割協議が錯誤により取り消しされる(民法第95条)可能性があります。実際に取消ができるかは遺言内容や認識などの具体的事情によります。法律相談で具体的な事情を聞かないとこれ以上回答できません。
遺産分割協議をするにはまず遺産の範囲を明確にするため遺産の一覧表を作る必要がありります。そして相続人全員で協議(話合い)をします。話合いは相続人全員が集まる場合もあり、電話やメール等で進めていくことも可能です。最終的には相続人全員が遺産分割協議書に納得して署名、押印することが必要です。
相続人だけの話合いでは遺産分割について話がまとまらないときは、他の相続人全員を相手に家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
申立書、相続人の範囲を示す戸籍謄本・除籍謄本類、遺産目録等が必要です。詳しくは裁判所のホームページを見てください。調停申立段階では弁護士に依頼すべきです。あとは弁護士がやってくれます。
一般的には1~2年程度かかることが多いです。調停というのは裁判所で行う話合いです。調停委員が間に入って調整することによって当事者の合意を促すというものです。家庭裁判所でやるといっても、あくまでも話合いですから、調停は全てが調停成立となるわけではありません。どうしても合意が困難というときは、調停不調として終了してしまいます。事件によっては相続人が複数の代に及び人数も10人を越えるときもあります。そのうえ分けるべき遺産が不動産ばかりで割れないものだと話合いは進みません。十年を越える事件も存在します。
相続人の話合いではダメ、家裁の調停でもダメ、というときは審判手続きに移行します。審判は、判決と同じように裁判所が一定の判断を示し、それに強制力があるものです。調停が話合いであるのとは根本的に違います。
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弁護士 安田英二郎
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